水急不流月

信じる道を突き進め

人生はRPG(ロールプレイングゲーム)だ!!

曇天から降り続く雨。

それはまるで止む気配も無く、外の寒さを助長させるように冷たい。

時折吹きすさぶ風に身を震わせながらも笑みをこぼし戦い続ける。

その時を信じて。

 

 

シトシトと降り続く雨の中、そそくさと家族の居る家を抜け出す。

月さえも見えない暗黒の世界へと足を踏み出せば、聞こえるのは雨と砂利を踏む足音だけ。

小走りで車へと向かうとそのまますぐに乗り込みエンジンを掛ける。

ヘッドライトの灯りがいつもよりもボンヤリして見えた。

街の明かりを横目に海岸沿いの道へと進む。

すれちがう車も減り、いっそう深い闇の世界へと入り込んだ。

どこまでも続く闇の中をひた走り、自動販売機に寄り道をしてコーヒーを2本買う。

なんてことない温もりだけのはずの缶コーヒーも、この日ばかりは熱く感じられた。

 

道路脇の電柱に外灯がポツリと咲いている。

薄暗い外灯の下にはすでに到着していた相棒の車が一台だけだった。

すぐ後ろに車を停め、覚悟を決めて装備を始める。

ここが今日の戦場だ。

 

すでに決戦の時を迎えている相棒のもとへと急ぐ。

道路から少し離れたゴツゴツとした岩場へ一歩踏み込んだ途端、辺りの気配が変わった。

足元をライトで照らしながら慎重に歩みを進めるとそこには、疲れ切っている相棒の姿があった。

コーヒーを一本手渡し戦果を聞くと、尺クラスを含む6体ほどの敵を仕留めていた。

いつ襲ってくるやもしれない敵に対し休んでいるヒマなどは無く、臨戦態勢でこの地に臨んだ私はすぐに構えをとり辺りを見回した。

その間に相棒はコーヒーを飲み、僅かながらに体力を回復させた。

 

急いで持ち場へと戻る相棒。

次の瞬間、待っていましたと言わんばかりに数々の敵が襲い掛かってきた。

こちらも全力で応戦する。

この瞬間にこそ生きる喜びを感じられる。

心を躍らせながら次から次へと殲滅していく。

一体、また一体と積み重なっていく奴らの亡き骸。

まったく、どれほどの数が潜んでいるのか見当もつかないほどだ。

しかし、どれも雑魚ばかりで本当に手ごたえのあるヤツは居ない。

 

相棒と私、お互いに奮闘しつづけていたが、曇天から降り続く雨と吹きすさぶ風に体力も限界が近づき始める。

そんな頃に、敵の気配がパッタリと無くなった。

ヤツだ。

ヤツには私たちの武器では歯が立たない。

しかし、眼前に現れたヤツに尻尾を巻いて逃げるようなマネは出来ない。

私と相棒は立ちはだかるヤツに全力でぶつかっていった。

 

敵わなかった。

まるで歯が立たなかった。

私たちは僅かな戦果を抱え戦場を後にした。

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あとがき

これは私のアジング釣行をRPG風にしたものです。

敵とはつまり、「アジ」です。

私たちの武器はロッドやリール、ワーム等の釣り道具。

最後に出てきたラスボス風の「ヤツ」はタチウオです。

こいつが来るとアジはぱったりと居なくなり、ルアーやワームは切られてしまうので釣り上げることは困難極まりないのです。

 

このように自分の人生をRPG風に考えてみるのも面白いものです。

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