悲劇は何の前触れもなく訪れる
週末アングラーの私は、3月30日の深夜も釣行していた。
その時に突然悲劇が訪れたのである。
いつも通り仕事を終え帰宅し、夕食とお風呂を済ませ釣行の支度をする。
いつもなら私が子供の風呂入れをするのだが、この日は私が帰宅した時点ですでに私以外が風呂を済ませていたこともあり、出発時刻はいつもより少し早め。
コーヒーを飲みながら車を走らせること約30分。
少しばかり風が吹いていたが、思っていたより寒くは無かった。
それでも体が冷えないようにと防寒着を着て、ロッドにラインを通していく。
準備をバッチリ整え釣行開始。
前回の釣行と同様にMフロートでゆっくりと探っていく。
一投ごとにキャストする方向を変え、広く調べていくとすぐにアタリが。
20cm半ばの良型メバル。
河川の堤防や公園の桜が満開を迎えるこの季節はやっぱりメバルが楽しい。
ホッと一息。
タバコを吸おうとポケットから取り出した時に箱ごとポロリ。
急いで拾ったが波に揉まれて吸える状態ではなかった。
車に戻り確認したが予備は買っておらず、灰皿からシケモクを探す始末。
この時に釣行を断念し納竿していれば悲劇に合わずに済んでいただろう。
今思えば、これが悲劇の幕開けだったのか何かの暗示だったのかもしれない。
その後も、ワームを変えたり誘うテンポを変えたりキャストする方向を変えながら更に3本を追加。
潮が変わりアタリが遠退いたので、ポイントを移動するためメバルをバケツからクーラーに移す。
バケツの中で窮屈そうだったメバルもクーラーに移しブクブクを入れると元気を取り戻した。
昨年購入したブクブクのポンプが凄く静かで移動中もすごく快適。
次に入ったポイントは誰も入らないような地磯。
地磯を少し歩きポイント入りするが、風が強すぎてすぐに断念。
また移動し、砂利浜サーフでも少しやってみるがアタリは無かった。
少しづつ風が強くなり、どのポイントに入っても強風で釣りづらい状況。
どこにでも居るイメージのメバルだが、サイズの良いヤツを狙って獲るとなると難易度はすごく高くなる。
キープが4本あったのでこのまま納竿しても良かったのだが、もう少し遊びたくて次のポイントへ行ってみることにした。
次のポイントにも、釣行者は誰も居なかった。
それもそのはずビックリするほどの爆風が吹いていたからだ。
ちょっとだけ様子を見ようとポイント入り。
ここが悲劇への入り口だった。
キープするために持って歩くバケツを足元に置くが、風に煽られ飛んでいきそうだったので水を汲む為に水際へ。
一瞬だった。
水を汲む為に水際に置いた右足が海藻でツルリ。
思いっきり滑りバランスを失った。
完全に集中力を欠いていた。
滑った右足はそのまま海水へドボン。
バランスを失ったことでそのまま転倒し上体の右側面を痛打。
それだけならまだよかった。
この時右手にはロッドを持っていたのだ。
右側に倒れ込んだ人間が反射的に受け身をとるのはどちらの手か、誰もがすぐに分かるだろう。そして、その手に握っていたロッドの結末ぐらいは容易く想像が付くだろう。
ホントに一瞬すぎて守り切れなかった。
怪我をしなかったことは不幸中の幸いではあるが、それでもショックで言葉にならない。
やはり身の安全を第一に考えなければならない遊びだということを痛感した。
この後私が何をするでも無く帰宅したことは言うまでもない。
平成31年4月1日。
新年度となり、新元号が「令和」と決定された。
そんな中後悔の念でいっぱいな釣行の記事を書いている。
悔やんでも悔やみきれないのが後悔なのだが、本当にショックでならない。
新年度、新元号発表と共に後悔のない人生を歩みたいと思った。