モイカ(アオリイカ)と海水温
私は年が明けてからのエギングはほぼしない。
それには簡単な理由がある。
経験上釣れることが少ないからだ。
毎年9月中頃からエギングを始め、12月いっぱいで終わりにしている。
厳寒期を迎え海水温が低下すると、釣れる個体数も減り活性が低くなることは、エギンガーの方なら身をもって感じていることだとは思います。
では、何故水温低下とともに釣れづらくなるのか。
モイカ(アオリイカ)と海水温の関係を見ていくことにしましょう。
経験上の釣れる時期
ここ大分県佐伯市では例年どおりでは9月末頃から新子が釣れ始めます。
年によってはひと月ほど前後することもありますが、大体この時期からエギンガーを見かけるようになります。この頃の新子といわれるモイカは盛んに捕食活動を行いエギにも果敢にアタックしてきます。時には体より大きなサイズのエギに抱いてくるモイカもいるほどです。
そして、次第に気温の低下していく10月、11月に食べ頃サイズの高活性な個体が多く釣れます。この時期は各地の堤防や地磯等でもエギングをしている方を多く見かけます。この頃には300g~600g程に成長しており、まだまだエギにも好反応を示します。僅か数十日の間にこれほど成長するというのはとても驚きです。
冬の寒さを感じ始める12月には、大型のモイカが出始めるとともに釣れる数は徐々に減っていくように感じます。まだまだエギンガーの方も見かける時期です。次第に釣れる個体は大きくなっていき、1kgを超える個体をみるのもこの頃からになります。
1月、2月の最も寒い時期にはエギンガーも少なくなり、実際に釣れることも少なく、そういった話を耳にすることも無くなります。この頃には泳がせ釣りでの釣果ばかりを聞くようになり、その数は明らかに減ります。しかし、釣れるサイズの大きい個体が多いのはこの時期でもあります。
海水温と気温の変動
釣れるパターンと海水温がどのように関係しているのか、まずは海水温を調べてみました。
大分県の 農林水産研究指導センター水産研究部の公表データより佐伯市上浦の年間の平均水温を知ることができました。
昨年の月ごとの水温をグラフにし、さらに気象庁データより昨年の佐伯市の平均気温を重ねてみました。
このグラフを見て先ずいえることは、同じような変動をしているということ。
3月の気温の上昇に伴い水温も上がり始め、9月頃の気温の低下とともに水温も低下しています。
しかし、気温と水温の下がり方には大きな違いがあります。
気温が勢いよく下降しているのに比べ、水温はなだらかです。
その差は2月頃の最低値の差となって表れています。
気温がグッと冷え込む時期でも海水温は10°Cを軽く超えています。
水温の最高値は気温とほぼ変わりませんが、最低値では8°C程差があります。
真冬に釣りをしていて海水を温かく感じるのは、この温度差があるからなのです。
モイカの適水温
では、海水温とモイカの関係はどうなっているのでしょう。
モイカの生体を調べたところ、適水温は16°C~25°C程度のようです。
もっと寒い水温で生きている個体もいるでしょうし、30°C程でも死滅してしまうわけではないようです。
ただ、捕食活動を活発に行う適水温としては上記の数字の程度のようです。
この適水温と先ほどのグラフの水温をみたときに、厳寒期が釣れづらいことはすぐに分かります。
12月を過ぎると海水温は15°Cを下回り、再び15°Cを超えるのは4月を過ぎてからとなっています。
つまり寒さの厳しい1月から3月は、モイカが活発に捕食を行う水温ではなくなってしまうのです。
このことから、新子が生まれて水温が下がってしまうまでの9月頃から12月の期間は、やはり釣りやすい時期だという事が言えます。
疑問を分析し知識へ変換
このようにして釣りで感じる疑問点や経験を分析し、自分の知識へと変えていくことで、効率の良い釣り方や釣行のベストタイミングを知ることが出来ます。
スマホの普及とともにあらゆる情報が身近になった今だからこそ、こうして自分の釣りを分析することも容易になりました。
他人の情報を鵜呑みにしていては、出遅れることも多く、好ましい釣果に繋がりません。そんなアングラーは、嘘の情報を掴まされても見抜くことすら出来ないでしょう。
年々増加傾向にあるエギンガーやアジンガーよりも一歩前を進む為に、経験をしっかりと知識に変え自分を信じることの出来る釣りを展開しましょう。