水急不流月

信じる道を突き進め

「釣りって、何て面白い遊びなんだろうね」この言葉に何を感じる?

今日は 、とても感慨深い言葉を一つ紹介したい。

みなさんは、村越正海という方をご存知だろうか。

海釣りをする人で知らない人は居ないんじゃないと思えるほど有名な方です。

2019年7月20日放送の「the fishing」という番組で村越正海さんが放った一言。

この言葉にみなさんは何を感じるのだろう?

 

この時の放送は1800回記念とし、村越正海さんが沖縄の波照間島でショアからGTを狙うといったもの。

結果こそ優れなかったものの、果敢に挑戦し続けるその姿を見た私は、最後の村越さんの言葉に感動し、目を潤ませた。

4日間の取材の中で追い続けたGT。掛けることすら叶わなかった。

村越さんは結局釣り上げることができず、最後には苦笑いを浮かべ悔しいとコメントしていた。

その中で、

「釣りって、何ておもしろい遊びなんだろうね」

と言い放った。

この言葉を聞いた瞬間に、私は「村越正海」という人物に魅了された。

危うく涙腺が崩壊しそうにもなった。

 

この言葉、なんてことない一言のはずである。

釣りの初心者ですら言いそうな言葉だ。

では、何故その何気ない一言に感動させられたのだろう。

 

それは、言葉のバックグラウンドにある。

私が釣りを始めた頃(二十数年前)は今のようにインターネットの普及なども無く、釣りを学ぼうとした時は雑誌等で情報を得るしかなかった。

その時にはすでに、「村越正海」という名はメディアの中にあった。

私が小学生の頃に知った、海釣りのメディアアングラーの唯一の方が、「村越正海」なのである。

大変失礼な言葉で本当に申し訳ないのだが、私は村越さんのことを知識豊富な海釣り好きのおっちゃん程度にしか感じていなかった。

 

それから二十余年の時を経て、改めてメディア越しに出逢った「村越正海」。

あの頃からずっとメディアに露出し続け、釣りという分野の発展に尽力し、活躍を続けてきたその姿は、単純に釣り好きなんて言葉では失礼なほど雄大であった。

私の中の「村越正海」のイメージは大きく変わった。

 

そして、あの言葉を聞いた瞬間に心を打ちぬかれた。

 

数十年の経験の上にある言葉は、深さや重みが違う。

私たちが簡単に口走って言う「釣りっておもしろいね」とは、全く別の意味や重さをもった

「釣りって、何ておもしろい遊びなんだろうね」

なのだ。

 

この言葉の裏側にあるたくさんの意味をくみ取れば、自然に感動してしまうだろう。

 

この言葉は、結果だけを追い求める人からは決して発せられる事のない言葉だ。

この人は、結果を出すことの出来なかった4日間すらも楽しんでいたのだ。

そして、その中で結果以外の得られたものがあるからこそ「なんておもしろい」と表現できたのだ。

私はこの言葉を、釣れなかった人の負け惜しみのように感じることはできなかった。

それどころか、この言葉から「村越正海」という人物の偉大さが垣間見え、感動せざるを得なかった。

心から釣りを愛し続け、海を愛し続け、魚を愛し続けた人だからこそ言えた言葉なのだ。

 

 

さらに、この言葉は私たちにも向けられていることに気付いただろうか。

釣りというジャンル、それは恐ろしいほど大きなくくりの一つ。

釣りは、海や湖、川、沼等場所によって分けられ、さらには、狙うターゲットや釣法で細かく分類分けされる。

「村越正海」の言葉は、その中の一つではなく大きなくくりの「釣り」そのものを、とてもおもしろいものだと断言している。

それは、私たち釣りを嗜むものの一番根底にあるものであり、忘れてはならないものだ。

それを再認識させるようにも感じとることが出来る。

 

釣りを「遊び」と表現していることも「村越正海」だからこそなのだろう。

村越さんにとっては仕事であるはずだ。

私たちのような一般の釣り人にとっては趣味である。

しかし、彼が数十年もの間続けてきたことを「遊び」と表現したことの素晴らしさには感服した。

本来であれば、

「釣りって、なんておもしろいんだろうね」

でいいはずだ。

しかし、村越さんはそこに「遊び」という言葉を付け足している。

自分の仕事であるものを「遊び」と言ってのけているのだ。

仕事や趣味は必ずしも楽しいわけではない。

しかし、遊びはどうだろう。

本人が楽しいと感じなければ遊びとは言えないのではないだろうか。

つまり、釣りを「遊び」と表現したことにより、釣り=楽しいものというイメージを自然に感じさせていると言えるのである。

 

番組内で狙い通りの獲物をキャッチすることが出来なかったことは残念であるが、そこでこの一言が言えるというのは正に本物の証。

同じ状況下でこの言葉が似合うアングラーがどれほどいるだろうか。

私は「村越正海」を除いて他に知らない。

 

たった一言。

「釣りって、何ておもしろい遊びなんだろうね」

この言葉が似合うアングラーに私はなりたい。

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